あなたの考える各国の老人制度について

国連では、高齢人口比率(65歳以上の人口比率)によって、7%~14%を高齢化社会、14%~20%を高齢社会、20%~を超高齢社会と呼んでいる。日本はその高齢人口比率が既にイタリアを抜いて、19%を超える比率で世界一の高齢国となっている。台湾、中国、韓国もそれぞれ9%、7%、7%に達しており、「高齢化社会」に突入した。高齢人口の増加、平均余命の延長は、個人の生き方や社会制度に大きな衝撃をもたらす。そこで最も脚光を浴びるものは、高齢者に対する社会保障の問題である。その次に、高齢者の財産に関連するものとして、民法上の成年後見ないし相続制度(またはエスティト・プランニング)が挙げられる。

まず、高齢者に関する社会保障制度は、年金と介護が中心課題となる。年金については、日本は1970年に既に高齢人口が7%を突破したが、国民皆年金制度は1985年にようやく整備された。このような対応はやや遅いが、他の東アジア諸国の現状をみると、その怠慢な態度は日本と変わらない。東アジア諸国の人口構造は今や日本の70年代と同じ段階にあるが、年金に対する意識はまだないといってよい。台湾では地方自治体によって「老人手当」が出されるところもあるが、それは年金と性格の異なるもので、税財源方式であり、自治体が財源の余裕のある時にだけ任意に行うものである。とりわけ、政治家は選挙前に高齢者の支持を得ようとし、臨時的に手当を支給することが多い。このような臨時且つ任意の措置は高齢者にとっては決して安定的な収入保障とはならない。次に、介護については、日本は1997年に介護保険制度を導入し、これは高齢者が自立して日常生活を営むことを支援するのが目的である。日本では介護保険が登場した背景として、金銭的負担や介護仕事自体の重さが、かなり大きな要因だと指摘されているが、これに対して台湾では比較的安価に外国人のメードさんを雇って高齢者の介護を行うことが普通であるから、国民の介護保険に対する関心は年金より少ない。さらに、民法上の制度を検討してみる。日本民法における成年後見制度は、新たな介護保険制度との円滑な接合を図るため、2000年に大幅に改正された。相続分野も、遺言増加の現象とともに、判例や学説の議論は盛んである。他方で、台湾ではあまりこの問題が注目されておらず、行為能力制度は依然として差別的な呼称である「禁治産制度」が維持されたままである。

日本はアジア諸国の中で一足早く高齢化問題を迎え、その解決を試みている国である。台湾はその高齢化の程度と経済発展の段階などの理由もあり、さらに伝統的な「孝」の道徳観が強いため、ある意味では国は高齢者を世話する責任を「孝」の言い訳で逃れ、それを家族に押付ける側面があることは否定できない。しかし最近では家族の連帯関係の希薄化及び少子化現象によって、高齢者の面倒はもはや「孝」の言葉のみで個人に強要するものではなく、むしろ社会全体ないし国の対策が必要になってくる。当然ながら、台湾は果たして、日本やヨーロッパ諸国のように充実した社会保障制度を採用するか、あるいはアメリカのように自由市場に任せるかをなお斟酌する余地があるが、このような議論ですら始まっていない現在、政府や国民の問題意識を喚起することが急務であると考えられる。

發佈留言

發佈留言必須填寫的電子郵件地址不會公開。 必填欄位標示為 *